TP-Link「Deco X90」レビュー。同社初となるAIを搭載したメッシュWi-Fiシステム
ティーピーリンク株式会社様より、新たに発売されたメッシュWi-Fiシステム「Deco X90」をご提供いただきましたのでレビューしていきます。
「Deco X90」ってどんな機種?
「Deco X90」は、2021年6月24日に日本国内向けへ発売されたメッシュWi-Fiシステム。「Deco」シリーズとしては昨年11月に発売された「Deco X60」以来約7ヶ月振りとなる新モデルです。
前モデル「Deco X60」からの主な変更点としては以下の4点が挙げられます。
- AI&スマートアンテナを搭載!
- トライバンドに対応
- Decoシリーズ初の2.5Gbpsポートを搭載
- 高さが約10cm増え、縦長に
AI&スマートアンテナを搭載!
このモデルの最大の特徴は、TP-Link社史上初となるAIとスマートアンテナを搭載している点です。このAIはネットワークの利用状況を常に学習し、それぞれの設置環境に適したメッシュWi-Fiを構築してくれるというもの。
更に、内蔵されたスマートアンテナによって他のDecoユニットに向けた強力な信号を集中的に送ることが可能となっています。これによりネットワーク全体の速度が向上し、Wi-Fiのカバー範囲も拡大されます。
前モデルより向上したメッシュWi-Fi技術によって、より快適なネットワーク環境が整うわけですね。
トライバンド対応
従来のモデルでは、スマートフォンやPCといったクライアント機器と同じ帯域を使用して設置されているユニット間の通信が行われており、接続機器が増えれば増えるほど各ユニット間の通信”バックホール“が圧迫されてしまい、ネットワーク全体の速度低下にも繋がっていました。
「Deco X90」では、バックホール専用の帯域が追加されたことで、接続台数の多い環境でも安定してバックホール通信を行えます。
バックホール用帯域が設けられたトライバンド自体は、2018年に発売されたDeco M9 Plusにも搭載されていましたがDeco Xシリーズとしては今回が初となります。
高さが約10cm増え、縦長に
後程画像を交えて比較していきますが、その性能故に仕方ない部分ではあるものの、Deco X60と比べるとかなり大きくなってしまっています。コンパクトなモデルを求めている方には向いていないかもしれません。
Decoシリーズ初の2.5Gbpsポートを搭載
背面の有線LANポートが2.5Gbpsに対応したのも大きな点でしょう。2.5GbpsポートにWAN側を接続することで高速な固定回線を最大限に活かすことが出来ます。
「Deco X90」のスペック
モデル名 | Deco X90 |
---|---|
プロセッサー | 1.5GHzクアッドコアCPU |
規格 | Wi-Fi 6 IEEE 802.11ax/ac/n/a 5GHz IEEE 802.11ax/n/b/g 2.4GHz |
Wi-FI速度 | AX6600 5GHz: 4804Mbps (802.11ax, HE160) 5GHz: 1201Mbps (802.11ax) 2.4GHz: 574Mbps (802.11ax) |
ストリーム数 | 8ストリーム |
通信機能 | ハイゲインアンテナ スマートアンテナ 4×4 MU-MIMO OFDMA 1024-QAM IPv6パススルー ビームフォーミング イーサネットバックホール |
最大接続可能台数 | 200台 |
セキュリティ | WPA WPA2 WPA3 |
有線ポート | 2.5Gbpsポート×1 ギガビットポート×1 (WAN/LAN自動判別) |
寸法 (W×D×H) |
130×123×210mm |
発売日 | 2021年6月24日 |
本体外観・付属品をチェック
付属品
ACアダプター×2、LANケーブル、各種印刷物が同梱されています。
本体に合わせてACアダプター自体が白色なのは嬉しいですね。よく見てみるとケーブル部分に小さくTP-Linkのロゴが印字されています。こういった細かい所まで拘っている製品、個人的には結構好きですね。
本体
こちらがユニット本体です。下部に小さく「deco」文字が印刷されていますが、あまり目立たず主張控えめ。
Wi-Fiルーターと言えば、ゴツゴツとした黒い筐体に長いアンテナが何本も付いている如何にも「ルーター」というデザインというものが多い印象がありますよね。つい棚の中等にルーター本体が見えない様に隠してしまいがちですが、それによって通信性能の低下に繋がってしまう場合もあります。
TP-LinkのDecoシリーズは、白いシンプルな筐体でインテリアの一部として馴染んでくれるような物が数多くラインナップされており、リビングにそのまま置いても部屋の雰囲気を損なわないのも良いところの一つですね。
背面にはWAN/LAN自動判別のギガビットポートがあります。自動判別してくれるものの、基本的には下の2.5Gbpsポートで固定回線と接続することになると思います。
底面に各種印字がされており、普段使用中に見える部分は上記の「deco」とその裏側にある「tp-link」のロゴのみでスタイリッシュ。
ACアダプターを接続する端子も底面に設けられており、接続するとこういった格好になります。
上部にはTP-Linkのロゴが印字されていますがここは他の部分とは異なり、光沢感のある質感で高級感がプラスされています。
状態表示のLEDはユニット側面に設けられています。横から見る(左)とこの様に光っているのがよく分かりますが、正面から見ると薄っすらと光っているのが分かる程度で抑えめです。
「Deco X60」との比較
前モデルの「Deco X60」と並べてみました。高さは「Deco X90」が210mm、「Deco X60」が114mmとおおよそ2倍ほど高くなっています。
重ねてみるとこういった感じで、丁度一回りほど大きくなっているのが分かります。
設定はスマホのアプリから楽々
ネットワーク機器の初期設定は苦手意識のある方も多いかと思いますが、「Deco」シリーズはスマートフォンにアプリを入れるだけで簡単に設定出来てしまいます。
詳しくは過去にレビューした「Deco X20」の記事で紹介していますので合わせてご覧頂ければと思います。
買い替え時も簡単
Wi-Fiルーターを買い換えると当然再設定が必要となりますが、既に「Deco」シリーズを使用していて上位機種・新機種に買い換えるという場合は今の設定・環境を引き継いだまま簡単に入れ替えることが出来ます。勿論その際の設定もアプリから可能。
今回は既にDeco X20でメッシュWi-Fiネットワークを構築している環境からの買い替えを想定して設定してみました。まずはサテライトとしてDeco X90を追加しました。
上記の手順で既存のメッシュWi-Fiネットワークに追加した後、現在メインで使用しているユニット(今回はDeco X20)の電源を切った状態でアプリを開くと、「メインのDeco」を切り替えられる画面が表示されるのでここから新たに購入した機種を選択すれば変更完了です。
勿論、今まで使っていたモデルをサテライトとして他の部屋に設置してメッシュWi-Fiを強化することも可能です。
おやすみモードが便利
本体側面に付いているLEDは間接的に見えるようになっている為そこまで眩しくはないものの、寝室に設置している場合等は睡眠時に目に付いてしまうというケースもあるかと思います。
勿論LED自体をオフにする事も可能なのですが、現在の状態をLEDを見るだけで確認出来るというのは何かと便利なので出来れば付けておきたい所。
そういったときに予め指定した時間帯だけLEDをオフにすることが出来る「おやすみモード」という機能が役立ちます。上記画像では夜10時に消灯して、朝5時に再び点灯するように設定しています。
設置場所を選ばないデザインであるからこそ、こういった配慮は嬉しいですね。
まとめ
最大2.5Gbpsのギガビットポートを利用し自宅のハイスピードな固定回線を無駄なく使用でき、ユニット間のバックホール通信用帯域も別途設けられた事でメッシュWi-Fiとしての安定性も向上し、一般家庭で使用するメッシュWi-Fiシステムとしては不満の無い性能に仕上がっています。
デザイン面では、良い意味でルーターらしくなくリビングやテレビ台の上に置いても違和感がありません。また、前モデル「Deco X60」のまるで円柱のような無駄のないミニマリズム的なデザインから少し垢抜け、一面だけ光沢感のある質感が採用されたり、LEDを間接的に見せる事で高級感が演出されていたりともうワンランク上のデザインへと進化しています。
価格もワンランク上がっており万人におすすめできる製品ではありませんが、テレワークの普及やスマートホーム関連のデバイス等ネットワークに接続する機器が増えている今日、インターネットの質がそのまま生活の質に直結しつつあるので、よりよい環境を追い求める方にはおすすめです。